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明日から使えるアドラー心理学

アドラー心理学って何?

アドラー心理学とは、アドラーという心理学者が提唱した新たな心理学です。

アドラーとは正式名称をアルフレッドアドラーといい、オーストリアの心理学者でフロイトやユングと並び現代の心理学を確立した一人として心理学の父などと呼ばれることもある人物です。

このアドラーが提唱した心理学は、今までのフロイトの提唱していた心理学とは違います。

今での心理学は集団としての心理というアプローチが多かったのですが、アドラーは個人個人の心理に焦点を当てた心理学者です。

アドラー心理学は別名個人心理学と呼ばれるものこのためです。

アドラー心理学の5大原則

アドラー心理学には5大原則が存在します。

これは「個人の主体性(Creativity)」「「目的論(Teleology)」「全体論(Holism)」「社会統合論(Social Embeddedness)」「仮想論(Factionalism)」という5つのものです。

ここで、この5つに関して簡単にまずは紹介していこうと思います。

アドラー心理学の基本の部分ですので、この5つを押さえておくだけでもかなりアドラー心理学を語れるようになるでしょう。

個人の主体性】

アドラーは個人というものをそれ以上に分割することはできない「個」という見方をしました。

そして個人が行動することには必ず根拠があり、それに基づく感情や理性が大きく関係しており、人が行動する上ではそれまでに積み重ねてきた人生の記憶などが大きく関係していると考えました。

これはある意味、当たり前ですよね。 人が行動することには必ず意味がある。

例えばリンゴを食べるという動作においても、食欲を満たすため、生命を維持するためという根拠があり、それは人生において食物を食すことが栄養補給につながり自らの命をつなぐということが記憶として頭の中にあるからです。

このリンゴを食べるという動作以外にも、栄養補給し生命を維持する方法は多く存在しますが、その時点でリンゴを食べるという動作が最善だと考え、そして理性もそれを許したことでリンゴを食べるという行動が行われたという解釈ができます。

今回はリンゴを食べるという例えを使いましたが、人間の行動はこのように分析し解釈することができるということをアドラーは言っているのです。

これは「個人の主体性」です。

目的論

目的論とは簡単に言うと全ての生物は目的のために行動しているということです。 無意識的に行動していると思っていても必ず目的があります。

この意識と無意識の見解の相違でフロイトとアドラーは喧嘩をすることになるのですが、これについてはどちらが正しいということではなく考え方の違いと言ったところでしょう。

無意識が存在するかどうかについては現在も研究が存在しており、もし無意識が存在しているとなると極端な話、殺人を無意識にやってしまったと殺人犯が答えた場合、罪に問えなくなるのです。

アドラーはそれを懸念して全ての行動は意識的に目的を持って行っていると提唱したのかもしれませんね。

もちろんアドラーも無意識を完全に否定していたわけではありませんが。

全体論

この全体論というのは非常に理解が難しい部分です。

アドラー心理学は先ほども述べたように個人をそれ以上には分割できない存在という認識で捉えます。

科学的に言うと原子のようなイメージです。 それ以上には分割できないが、多くの要素を含んでおり、それらは別の性質を持っており、同じ方向性(目的論)に向かっている。

そして諸要素が対立することはない。というのが全体論の考え方です。 少し難しいですよね。

要は「人はそれ以下に分割すると人じゃなくなるが、その個体の中には多くの要素が含まれて居る(本来は要素ごとに切り離せるはずという前提で) それらの要素はみんな違う顔をしており、性格も違うけど同じ方向をずっと見ている。

そしていつも同じ行動をする。という感じでしょうか。

できるだけ簡単に説明してみましたが、この全体論というのは解釈が非常に難しい部分ですので、それぞれで一定の理解ができればそれでいいと思います。

社会統合論

最近、アドラー心理学が注目され始めたのは、この社会統合論が今の現代に必要とされているからです。 この社会統合論は人間関係に関しての心理学です。

社会統合論では人の悩みは全て人間関係であると断言しており、その解決の手段を考え方次第とし考え方のプロセスを提唱している理論です。

現代はストレス社会と言われており、多くの人が人間関係で悩み苦しんでいると思いますが、その人間関係でのストレスを軽減する方法がこの理論の中にあるということです。

そのため、アドラー心理学は近年ここまで注目されているのです。

この社会統合論については後ほど詳しく紹介していこうと思うので、ここでは簡単な紹介だけにしておきます。

仮想論

この仮想論はアドラー心理学初心者の方には少し難しすぎるテーマです。

この理論は正確には哲学もかじっているような理論ですので、非常に複雑で頭の中で処理しきれない人が大勢いますが、ここではできるだけ簡単に説明していこうと思います。

仮想論とはすごくシンプルに言うと「人って結局良い方へ物事を運ぼうとするんだよね」ということです。

これは非常にシンプルな言い方ですので、感じ方で解釈に大きな差があるかもしれませんが、要はこんな感じのことなんだなーくらいに思っていただけると幸いです。

この理論がなぜ哲学に足を突っ込んでいると言われるのかというと、人は自分の中でマイナスな状態とプラスの状態を定義しています。

常に全ての物事でプラスとマイナスを定義しており、これは個人間で大きな隔たりがある概念です。 そして人は絶対にマイナスからプラスに物事を自然と運ぼうとするのです。

これは目的論とかぶりますが、必ず目的する先にはプラスの状態があるのです。

例えば誰かを庇っていて批判を受けることになったとしてもそれは庇う相手からの見返りを期待しての行動なのです。

このように人の行動については、善悪以前に全てが認識上のプラスに向かっていくということなのです。

しかし、人がどの時点でマイナスを意識しているのかという問題になると、哲学の認知論が関わってくるので、非常に複雑な問題になるということです。

人は絶対に向上心を持っているということもできるでしょう。

マイナスからプラスに持って行くことが、人が生物としての性質ならば、それを向上心と呼ぶこともできるでしょう。

人間関係で悩みを抱える人へアドラーからのプレゼント「社会統合論」

ここまで読んでいただけた方は、アドラーの5つの基本原則が互いに相互干渉しあっていることに気がついたかと思います。

この社会統合論も特に全体論と大きく関係しており、ということは目的論とも大きく関係しているということになります。

この社会統合論は人間関係についての理論ですので、この理論で特に実社会で生かせる考え方を紹介していこうと思います。

実社会で特に使える部分は 【共同体感覚】です。 これは全ての人は仲間だよ!という考え方です。

現代は多くの人が互いにライバル意識を持ち、互いにいがみ合う社会となっています。 それが組織的な利益にもつながっていないことがまたストレスになっているというケースも多くあります。

これは資本主義社会が産み出した弊害とも言われていますが、アドラーは仲間意識を持つことが大切だと説きます。

人が幸せになる要素の一つに他人への関心があります。 人は自然と幸せになろうとしますので他人に関心を持ちます。

しかし、それが嫌悪やライバル意識、嫉妬などになると幸せになるどころか不幸になります。 そのため、他人への関心を仲間意識に置き換えると幸せに近づくことができるとアドラーは言っているのです。

互いの存在を認め合い共存関係になれば組織的な利益も生まれ幸福感も増すことでしょう。

また社会統合論では生き方についても考え方次第であると言っています。 人の生き方とは自分に対しての評価、いわば決めつけです。

サッカーが苦手だと考え、敬遠している人は一生サッカーが上手くなりません。

それと同じでやる前からなんとなく苦手そうという意識を持つことをやめることがアドラーは大切だと言っているのです。

人生の中でなんとなくということをなくすと人生が自分のコントロール下に置かれます。 そこからが自分の人生の始まりです。

長い人生で自然と「どうせ無理」と考えてしまう人は多いですよね? しかし案外やってみるとできたりすることは多いものです。

また、自分はネガティブと思っている方も意外とポジティブな人だったという場合も多くあります。

最近は無理に自分を変える必要はないという趣旨の自己啓発本が多いですが、自分を強引にでも変えなければ人生は変わりません。 周りに変わってほしいと願うよりも自分が変わった方が早いのです。

そのためには人間関係に臆病にならずに向かっていくことが大事です。 このように案外アドラー心理学は優しくポジティブな考えを与えてくれる心理学なのです。

心理学と聞くと難しそうというイメージを持つ方が多いかもしれませんが、意外とそうでもないということがお分かりいただけたでしょうか?

次の項目ではさらに発展的なアドラー心理学の使い方について書いていこうと思います。

心理学は人間関係を円滑にするためのもの!?

アドラー心理学で特に大切なことだと言われているのが、「行動」です。 人間関係は必ず行動によって築かれます。

そのため、行動を意識的にコントロールする必要があるのですが、アドラー心理学でやってはいけない行動があります。 それは称賛です。 つまり相手を褒めてはいけないということです。

褒めるという行為は相手を下に見ているという意味になり、相手のプライドを踏みにじる行為になるので「すごいねー」などの称賛はやってはいけません。

ただ、相手が素晴らしい結果を残した時に、無言でその場を立ち去れという意味ではありません。

どんな立派な理論でも、解釈を間違えるとトラブルの火種になりますが、この称賛をしてはいけないというのは、無視をしろというわけではありません。

相手が素晴らしい結果を残したら、「私もがんばろ!」というポジティブな発言をしたり、「努力が実ったね」といった結果ではなく努力という過程に対しての発言はOKなのです。 ここを間違えないようにしましょう。

これは子育てにも大きく影響してきます。

子供を褒める際には結果ではなく過程を褒める。 「ゲームを我慢して1日1時間勉強してよかったね」など何を評価されているのかが、子育てでは大事になってきます。

結果のみを称賛してしまうと結果が出ればいいのか!と考え、極端な話カンニングや点数の書き換えなどで称賛を得ようとします。

そうなると意味がないため、過程を評価するようにしましょう。

また余談ですが、最近は嫌われる勇気というアドラー心理学についての本が出ていますが、これに関しても嫌われることを推奨しているわけではありません。

もちろん嫌われない方がいいのです。

しかし、人生においては時に理解を得られない場面がある。 立場上であったり、性別上であったり、そういいたどうしようもない場面においてのみ嫌われる勇気が必要ということなのです。

短絡的に嫌われればいいのか!と考えている人が非常に多い。

好き勝手に自分の思い通りにならない場面で迷惑をかけて嫌われるようなことを推奨しているわけではないのです。

自分の意見を通さなくてはならない場面において相手に最大限の敬意と尊厳を持って反対の立場、つまり嫌われる立場に行くということも大事という考え方なのです。

この考え方はアドラーらしさが少し出ている部分です。 アドラーは心理学会の巨匠のフロイトとはじめは非常に仲が良かったのです。

そのため、同じ組織に在籍していたのですが「意識と無意識」というテーマにおいて意見が対立しました。

そして、その後アドラーは新たな組織を作りアドラー心理学という名称で広めていきました。

この時のアドラーには非常に葛藤があったと思いますが、この時の経験を元に生み出した考えが「嫌われる勇気」になっているのです。

まとめ

アドラー心理学について簡単に紹介してみましたがいかがだったでしょうか?

基本の部分だけでも解釈は無限にあります。 今回は一般的な解釈を紹介しましたが、自分なりの解釈を見つけてみるのもいいでしょう。

アドラー心理学を学ぶことで改めて学問は面白いな!と私はは感じました。

近年は人間関係で悩んでいる方が非常に多いため、アドラー心理学関連の本が大ヒットを飛ばしていますが、このアドラー心理学関連の本が売れなくなった時こそが本当に社会が良くなってきた瞬間なのではないかと考えます。

今はまだ爆発的大ヒットを記録していますが、多くの方が互いに尊重しあえる社会お互いにいがみ合うことのない社会が来るといいですね。 そんな日を待ち遠しく思いながらアドラーもアドラー心理学を著したのでしょうね。


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